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10年目の恋
【ファンタジー 官能小説】

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月夜の晩-5


公園を通りかかったとき、ベンチに若い男の子が座っているのが見えた。
なにやってんの?
ベンチに座り、ぼーっと満月を見ていた。

いつもなら絶対にそんなことしないのに
あたしはゆっくりと近づいて声をかけた。

「なにしてんの?」

その子は目だけをあたしに向けると「月みてんの」と
そっけなく答え、また視線を月に戻した。

「もう10時過ぎたよ。子供はかえんな」

どう見ても高校生らしいその子は
やっと顔ごとあたしに向けて
「家出中なんだよね」と苦笑いした。

「なるほどね」
さして家出中って言葉に気にも止めず、あたしもベンチの隣に腰を下ろす。

「志保は警戒心なさすぎ」

って徹に怒られそうだな。と思いながら顔を上に向けた。
「綺麗だね」
「うん。綺麗だよな」
君の顔もね。という言葉は飲み込んだ。

しばらくその月を眺めていて
そろそろ帰ろうかと腰を上げたとき
「お姉さん。泊めてくれないかな」と
サラリと言った。

「それは無理でしょ」
「猫を拾ったっと思って?」
「デカっっ。猫は無理があるよ」
「じゃぁ、犬?」
「うちのアパート、ペット禁止なんだけど」
「大丈夫。俺鳴かないからバレない」

なるほど。バレないのか。
と、ちょっぴり論点がずれている内容に感心し
気持ちが少し揺らいだ。






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