結び目のない赤い糸-3
紳士
「ミノリさん!」
ここで決め台詞を言うんだ。
婦人
「はい」
どんな文句で口説くつもりなの?
紳士
「ええと……あのう……」
喉がカラッカラなんだけど。
婦人
「はい……」
私はお肉なんだよ、草ばかり食べてちゃダメ。テツヤさん、頑張って。
紳士
「き、今日は、いいお天気ですね……」
それ、さっきも言ったやつじゃん。
婦人
「そうです……ね」
ぜんぜん草食じゃないですか、テツヤさん。
紳士
こういう性格が嫌われるんだろうな、たぶん。
婦人
ときめく言葉が欲しいだけなのに。
紳士
彼女は何を考えているんだろう。
婦人
彼女は何を考えているんだろう、って顔してる。
紳士
仲人さんたちも席を外してくれているのに、僕は何してんだ。
婦人
二人きりなんだから、となりに来てくれたっていいじゃない。
紳士
あのおっぱいも諦めるしかないのかもな。
婦人
私のことを押し倒してみなさいよ。
紳士
色っぽい顔してんなあ。
婦人
ここにキスして。
紳士
膝枕に欲情してみたかったなあ。
婦人
太ももが好きなことくらい、雰囲気でわかりますよーだ。
紳士
女の人の耳掻きに憧れたこともあったっけ。
婦人
口でいっぱいサービスしてあげる。
紳士
スリーサイズも気になるところだ。
婦人
あなたのために、可愛い下着にしてきたの。
紳士
もうちょっとプラトニックなほうが好みなんだろうか。
婦人
ドラマティックとかロマンティックとかじゃなくて、エロティックでもいいじゃん。
紳士
デートに誘ってみようかな。
婦人
ベッドに誘ってください。