結び目のない赤い糸-2
紳士
「懐石料理もたまにはいいもんですね」
牛丼の特盛りのほうが腹持ちいいんだけどなあ。
婦人
「ほっぺが落ちるって、こういうのを言うんですね」
ファミレスならカードのポイントが貯まるのに。
紳士
「あはは」
とりあえず笑っとけ。
婦人
「うふふ」
なんで笑ってるんだろう。
紳士
「あのう、ご趣味は?」
このタイミングでよかったんだろうか。まあいいや。
婦人
「映画を観るのが好きです」
お見合いによくある台詞。だけど、これが普通なのかも。
紳士
「お好きなジャンルは?」
エッチな映画とかも観るんだろうか。
婦人
「恋愛ものは大体チェックしてますね」
ホラー映画が好きだなんて、絶対に言えない。
紳士
「機会があれば、是非ともご一緒したいですね」
ベッドシーンが出てくる恋愛映画もあるしな。
婦人
「一人で観るより、二人のほうが楽しいですもんね」
幽霊に萌える女でもよければ。
紳士
「休日はどうやって過ごしているんですか?」
一人であんなことやこんなこともしてるのかな。
婦人
「資格の勉強とか、あとは料理の腕を磨いている最中です」
恋愛シミュレーションゲームもやってます、はい。
紳士
「ミノリさんの手料理、僕も食べてみたいな」
ついでに彼女のことも食べてしまいたい。
婦人
「それじゃあ、キャラ弁の味見をお願いしちゃおうかな」
マニアックなキャラしか作らないけど。
紳士
「僕、胃袋にはけっこう自信があるんです」
あっちのテクニックには、ぜんぜん自信がないけど。
婦人
「たくさん食べてくれる人、私は好きです」
私も食べられちゃうのかなあ、なんて。
紳士
「ミノリさんみたいな人が奥さんなら、毎日楽しくて仕方ないだろうな」
いろんな体位にチャレンジしてみたい。
婦人
「偶然ですね。私もおなじことを考えてました」
私の性癖を受け止めてくれるかな。