午前零時-2
「どうします?」
「………。」
この反応も、想定内だ。
嗚呼、大声でこの喜びを叫びたい。
「こういうの、無賃乗車ってんですよ。
こちらもそれなりの手段をとらせていただきますが」
ただでさえテンパっているのに、この台詞で追い打ちをかける。
「そ、それだけは許してください」
それなりの手段=警察
と、こちらが口に出さなくても勘付いたようだ。
「じゃあ、そうですね、時給7000円の仕事はどうですか?」
鏡越しに彼女の顔をちらっと見る。
…アブないものと分かりながら、頷いた。
俺はその瞬間にアクセルを踏む。
向かう場所は人気のない、大きな公園だ。
車を5分走らせたところにそれはある。
「この事、口外はしないでくださいね」
俺の冷たい言葉が彼女には響いたようだ。
ビクッと体が動いた。