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懺悔
【その他 官能小説】

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懺悔-1

「どうしたの?悲しい顔して」
話しかけてきたのは、ちょっとイケメンの中年男だった。港近くの寂れたバーで、ルミはカウンターで一人飲んでいた。白いブラウスにベージュのスーツ姿。小柄なのに出る所は出ている。豊かな乳房を容易に想像できる。
「隣りに座っていい?」
店内は空いていたが、その男はルミの隣りに座った。
「マスター、ビールを」
無口なマスターは60前後、白髪混じりの髪を後ろで束ねていた。

ちょうど日暮れどき。レインボーブリッジのライトアップがきれいだ。
「よかったら、話してくれない?」
ルミはその男を見つめた。信用できそうだった。
「あなたは誰?」
「申し遅れた。私はこういうものです」
男はスーツの胸ポケットから名刺を出した。
「大倉義男。日本求心教団?え?宗教の人?」
「そんな怖い目で見ないで」
大倉は笑った。素敵な笑顔だった。
「だって宗教団体なんでしょ?」
「そうだよ。でもうちは怪しい団体ではない。心の救済を行っている。毎日を健やかに生きてもらうためにね」
大倉のマジな視線にルミはうっとりした。
「君、名前は?」
「あ、金子ルミといいます」
「金子さん、大倉といいます。よろしく」
「ルミでいいです」
今夜はラッキーかな。ルミは心の中でVサインをした。
「ルミさんはアラフォーかな?」
「そうよ」
「私もアラフォーだが、ギリギリ上限だ」
そう言って大倉はまた笑った。
「もしかして人妻?」
「うん。悪い人妻」
ルミはそう言って舌を出した。そのしぐさに大倉はぐっと来た。ターゲットはルミに決定された。

日が沈み、外は暗くなった。船のライトが輝いている。
「何を悩んでる?」
「・・・」
「あ、いやいいんだ。言いたくなければね」
ルミは重い口を開けた。
「私、悪い女」
「さっき聞いたよ。悪い人妻なんでしょ?」
「実は親友の夫と不倫してたんです」
「してた?過去形だ」
「うん。さっき別れました。このバーで」
「それで悲しい顔をしてたんだ?」
「悲しいというより辛いです。親友と夫を裏切っていたことが」
ルミはグラスの水割りの残りを一気に飲んだ。
「でも、別れたんだから、もう忘れてしまえばいい」
「いや、ダメです。別れても二人を裏切った事実は消えません」
「二人は気付いていたの?」
「親友も夫も多分何も知りません」
「ルミさん。なら、もう忘れたほうがいい」
ルミはカウンターテーブルをじっと見つめた。ルミの頬を涙が流れた。店内にはムーディなジャズが流れている。その音が一際大きく感じた。

「夫とは夜の生活が一年前からなくなっていて。。。」
「そんな話しなくても。。。」
それでもルミは続けた。
「三ヶ月前、親友の家に遊びに行って、親友が買い物に行ってる間にその夫に犯されてしまったんです」
「え?じゃルミさんが悪いんではない」
「でも、でも、そのとき感じてしまって、その人を私から求めるようになったんです」
「ルミさん、もういいって」
大倉はビールのおかわりを注文した。
「誰にだって性欲はある。単なる肉体だけの関係なら浮気ではない。そう思いなさい」
「だめ、絶対赦されない。だめよ」
ルミはカウンターを叩いた。

「ルミさん、一度うちの教団で心の救済を受けてみない?」
「心の救済?」
「ええ」
「それを受けるとどうなるんですか?」
「少しは楽になるかもしれません」
「本当に?」
「はい」
ルミは、大倉を見つめた。
「わかりました。じゃ行きます」
「場所は名刺の所です。事前に予約してください」
「わかりました」




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