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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈憔悴〉-2

「……家(うち)の……美津紀なんじゃが……」

{ま、孫娘の事なら話す事は無い。みんな元気でいるんだからな!}


通話は突然の叫ぶような声で、一方的に切れた。
数年前の銭森姉妹の失踪事件に触れそうな言葉に、前・警視総監は通話を遮断したのだ。

本家と分家。
警視総監の肩書を背負った二人の老人。

数年前の夏帆のレイプ事件から始まった一連の悲劇。四姉妹の全滅を秘匿した理由は、何も巨大な陰謀があった訳ではなく、目に入れても痛くない孫娘達を、世間の、守るべき市民の笑い者にされたくは無いという想いだけだったのだ。
二人は同じ想いを抱きながら、苦悩を分かち合い、協力する術を自ら喪失してしまう過ちを犯した……。


「……わ…ワシはどうしたら……」


春奈に自宅待機をいくら命じても、頑として聞き入れはしない。
最後の銭森姉妹として、この事件の決着を決意していた。
お嬢様のような華奢な身体をした春奈の強い正義感……それは頼もしくも見え、そして実に危険でもある……。

ツクツクボウシの鳴き声に、ヒグラシの鳴き声が交ざり始めた。
昼から夕方へ、そして夜へ……時は確実に進んでいる……。



《終》


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