訪問初日-2
壇上でスピーチする上杉夫人を改めて見て、その肉感的な魅力に圧倒された。自然な黒髪は肩口から少し延びて軽くカールしている。その髪に隠れた長く白い首は白鹿を思わせた。その上品な首回りとはアンバランスなまでに盛り上がった胸と豊満な尻……。
滝山は頭の中で上杉夫人を犯していた。
白いシーツの上で四つん這いになった夫人は尻を高く上げている。すぼまったウエストから見事なまでに広がった尻の感触を味わう。黒色の髪を引っ張りながら挿入すると顔を苦痛に歪ませながら上体を仰け反らせる。
胸の乳房は豊潤な果肉をたわわにし、突きをくれてやるごとに揺れ動いている。速度を速める突き上げに堪らず喜悦の声をあげながら、細い肩から延びた小さな手でシーツをクチャクチャになるほど握りしめていた……。
滝山の新たなターゲットが決まった。
3
“上杉”太い楷書で書かれた表札を確認した滝山は、車を止めてエンジンを切った。
門から覗く上杉邸は、人が乗れる程大きく大きな出窓があり、白い外壁に煉瓦造り風の瀟洒な造りだった。芝を張った庭に緑の木々が植えられ、綺麗な草花が色とりどりの花をつけ手入れが行き届いるようすだった。
その時、庭先に人影を見つけた滝山はハンドルを握ったまま、それが上杉夫人であることを確認した。細く括れたウエストからハートを逆さまにしたような形をした尻がくねるようにして歩いている。
庭いじりのためか、ジーンズより薄い生地のパンツを履いて余計にその形と動きがよく見てとれた。夫人が屈みこむと尻の形が強調され細いウエストからグッと張り出したボリュームのある尻が扇情的だった。
「すみません、上杉部長の奥様ですよね。私、上杉部長の元で働いている滝山と申します。今日は、部長からの指示で顧客に届け物をする途中なのですが近くに参ったのでご挨拶させていただきます」
「はい、あの……、そうなのですか? あの……滝山さんですか」
いきなり話しかけられて、訝しげな表情で戸惑いながら雅恵が尋ねる。
「はい。大京精密の普段は夜勤で製造課の現場監督をやっている滝山謙一です。すみません。自己紹介が後になってしまいましたね」
明るく笑う滝山に雅恵はようやく疑いを解いた。
雅恵の顔を真正面から見た滝山は体型だけでなく、鼻筋の通り目がぱっちりとした顔立ちに心の中で感嘆した。
「まぁ、夜勤なのに昼間からお仕事ですか? 大変ですね」
黒色の巻髪を軽く手の甲で払いながら雅恵は手にしていたシャベルを足もとに置いた。
「いえ、夜勤の現場監督なんて閑職ですから。夜は、仮眠と称して普通に寝ています。あっ、口がすべっちゃいましたね。これは、部長には内緒で」
「あら滝山さんたら、いやだ。ええ主人には何も言いませんよ」
雅恵は、滝山の明るく軽妙な態度に好感度をもち、会社の部下という立場にも安心しきった。
育ちが良い雅恵は根本的に人を疑うことが無かった。目の前の滝山が、まさか自分を性奴にしようと企んでいる男だとは思いもしなかった。
「せっかくですから、中でお茶でも飲んでいってください」
「そうですか。助かります。急に暑くなってきたので、喉も乾いていたとこなので。すみません、何だか催促しちゃったみたいで」
明るく笑う滝山に、雅恵はつられて笑った。
「どうぞ遠慮なさらずに。こちらへ」
手の土を軽く払って玄関へ向かう雅恵のくねる臀部の動きを見ながら、滝山は後についていった。
邸宅の内部は、白色系の壁紙で統一され、ドアや納戸など木製部と調和のとれた落ち着いた色合いで統一されていた。雅恵の性格からか綺麗にかたづけられ、まるで新築のように光り輝いていた。
「こちらのお宅はずいぶんきれいですが建ててどの位経ちますか?」
滝山は、雅恵以外だれも居ないことを確認しながら話しかけた。
「娘が小学3年にあがってから建てなおしたので、もう10年以上経ちますわ」
「お嬢様がいらっしゃるのですか?」
「はい、19歳になります。今は雑誌かなんかのモデルの仕事をしていて」
「そんなに大きなお娘さんが……」
プラベートに触れる問題に雅恵は、一呼吸おいた。
「あ、どうぞ。お掛けになって。すぐに冷たい物をお出しいたしますから」
雅恵は、滝山にリビングのテーブルの椅子をひいて勧めた。肉厚なテーブルの面積
は、四人家族には、十分すぎる大きさであった。
「失礼します」
雅恵は、滝山が椅子に座るとキッチンに立った。
「私、後妻として上杉の妻に収まったので娘とは血の繋がりはございませんので」
普段の雅恵は、この件に関してはあまり語りたがらなかったが、久しぶりに訪れた客
人に、少し口が軽くなっていた。夫以外の男性に久しぶりに接したことで、何かいつもとは違った感覚を抱いていた。
後姿の雅恵が麦茶を用意しながら立ったり座ったりすると、尻がすぼまったりボリュ
−ムを増してパンツにぴったりと張り付くさまを滝山はジッと見ていた。
「だから娘とは、親子とも姉妹とも言えないような微妙な歳の離れ具合になってしまって。さぁ、どうぞ」
雅恵が麦茶を持ってきて、滝山の前に置いた。
「恐れ入ります」
「あら私、麦茶以外に何にもお持ちしないで。今、お茶うけお持ちしますわ」
「本当におかまいなく」
雅恵が再びキッチンに向った時、滝山は胸のポケットから携帯電話を取り出し、キッチンにすらりと立つその後姿を携帯カメラで狙い、全身を枠に入れシャッターを切った。