The Bird-1
澄み渡る青空の下、少年は立ちすくむ。
その長く細い腕を延ばして、
あの空に届けとばかりに、飛ぶ。
だけど空は高すぎて、
もがき、苦しみ、いきり立つ。
目の前には光る空。
倒れた少年は、何を見る?
それでも、手を伸ばし
見えない何かを握ろうとする。
「眩しくて何も見えない。何も、何も掴めない。
風のように、鳥のように、あの空を飛べたなら」
伏せた目は、何が映る?
見据えたその先に、何があるの?
ビルの切れ間から、太陽の光。
輝く、七色の雲。
射す夕暮れを左に受けて、少年は腕を伸ばす。
「見つからないけど、探すんだ。君への何かを。
自分だけの翼を。」
ゆっくりゆっくり羽ばたいて、
風をかき分け少年は、飛んだ。
大地を蹴って、雲を擦り抜け、
見えない虹の、まだ向こうまで。