君とサヨナラする日1-5
そして次は、芽衣子のリクエストで、郊外にあるハンバーグ専門のファミレスに向かうことになった。
ここは安くて量も多くて美味いから、俺と芽衣子はしょっちゅうここに通いつめるほど大好きな店であった。
だから、ここに来て何も食べられない状態がなんとももどかしい。
昼時から少しズレたためか、客足の落ち着いた店内。
二人が会話を弾ませているうちに、あっという間に注文したものがテーブルの上に並べられた。
肉の焼ける香ばしい匂いが一気に広がり、たまらず俺は生唾を飲み込む。
「園田ー、俺もハンバーグ食いてえんだけど」
「そこは我慢して下さいよ。
一応これ位なら食べていいですから」
俺が園田に駄々をこねると、奴はカバンの中からカロリーメイトのようなものを出すと俺に半分寄越してくれた。
「チェッ、ハンバーグとは雲泥の差だな」
文句を言いながらも、俺はカロリーメイトもどきをモサモサ咀嚼した。
恨めしそうにテーブルの上を見つめる。
特に芽衣子の頼んだチーズバーグディッシュってのは、俺が毎回頼むほど好きな代物なのだ。
「芽衣子の奴、よりにもよって俺の好きなやつ頼みやがって、あてつけてんじゃねえよ」
好物を目の前にして、食べることのできない俺は、ついに芽衣子にまでケチをつけ始めた。
芽衣子はチーズが苦手だから普段は絶対にこれを頼まないのに、今日に限ってこれを頼むもんだから、俺の腹の虫をさらに刺激していた。