君とサヨナラする日1-4
まずはアパートを管理している不動産屋に立ち寄り、芽衣子は鍵を返却してきた。
午前中の引っ越しが終わった時点で、この会社の社員が部屋の中に来てチェックをしていたが、
「あー、ヤニがすごいですね」
と壁紙を見るなりそう言った。
言うまでもなく、俺が吸ってきた煙草のせいである。
その他にも、芽衣子と喧嘩したときに、イラついた俺は壁にパンチをして小さなヒビを入れてしまったことがあるのだが、それも目ざとく見つかってしまった。
結局、壁紙は張り替え、壁は修理をし、さらにフローリングについた傷も直すため、敷金はほとんど戻らないと社員は告げた。
鍵を返しに行った時に同じ社員が対応してくれたが、そいつに
「女性だから綺麗に使ってくれると思ったんですけどね」
と嫌みを言われ、芽衣子は苦笑いで謝るだけだった。
やはり俺と一緒にいると、芽衣子は俺の尻拭いばかりさせられてしまってたんだな。
苦笑いをしている彼女の横で、俺は
「悪かった、芽衣子」
と、きまりの悪い顔で謝った。