交尾-1
俺は理恵の家に来ていた。一軒家。どう考えても不釣合いな豪華な家。
一体どうやって生活しているのか。
招かれてドアを閉めた時、不思議な香りが漂う。
「何の匂いだ・・・?」
「あー、これはまたたびの匂いね。」
ここまで匂うものなのか、不思議だったが、とりあえず奥に通された。
途中何匹か猫と遭遇する。やはり猫好きのようだ。
そして、書斎と思しき部屋に通された。
「それじゃ、とりあえずここにいてね。動かないでね。」
そう言うとドアを閉めて、バタバタと行ってしまう。何をするつもりだ?
とりあえず辺りを見渡してみると、原稿用紙やワープロなど物書きであろう道具たちがあった。
「物書きの親と同居してるのか。」
どこか納得がいった。それで色々とあわてていたのか。思慮の足りない気もしたが、つれてきたのは、理恵のほうなのだから、俺が心配する必要はない。
「にゃー。」
奥から一匹猫が出てきた。太っている。
「餌のやりすぎじゃないのか。」
どうも理恵の考えは良く分からない。
まぁこれで成り立っているのならいいのだろう。
客観的になればなるほど、先ほど公園で昂ぶっていた自分が嘘のように思えてくる。
「これが狭間か・・・」
詩人のように言ってみたが、いまいち自分でも良く分からなかった。
あまり家捜しをする趣味はないので、ごろんと横になった。
目を閉じるとあっさりと眠気がやってくる。
・・・