君のいない所で-3
未練がましくて、しつこいと自分でもよくわかっているけど、これが最後のささやかな俺の願いなのだ。
園田には、俺のダサい所やカッコ悪い所を見られまくっているけど、ここまで悪あがきしてしまえばこれより下はないだろう。
園田は、そんな俺の悪あがきを非難したりからかったりするわけでもなく、
「だったら、このまま有野さんのアパートに行けばずっと顔見られるじゃないですか。
なんなら私も気を利かせて席外してあげますよ」
と、少し微笑んで俺の腕を小突いてきた。
「だって、あのまま二人の後つけていって、またこないだみたいにおっ始めちまったらどうすんだよ。
また、お前に一部始終を見ててもらうのかよ」
「まあ、それもアリですかね」
「バーカ」
俺は小さく笑って園田の頭をパシッと叩いた。
そう言ったけれど、久留米はあのまま芽衣子をアパートに送り届けたらまっすぐ帰る気がしていた。
それは単なる直感でしかなかったけど、なぜかそれは自信を持って断言できる。
久留米との付き合いだって、かれこれ6年なんだ。
さっきはケダモノ呼ばわりしたけれど、根が真面目で、芽衣子をどれだけ大切に想っているかを知っているから、今さら勢いで芽衣子に手を出すことはしないだろう。
二人はこれから愛を育んでいく時間がたっぷりあるんだから、焦ることは何もないはずだ。
ほぼ同じ年月の付き合いなのに、さっぱり理解できなくなった芽衣子の気持ちより、久留米の気持ちの方がよっぽど理解できるのは不思議なもんだった。