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また君に会いたい
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君のいない所で-15

「もちろん式は取りやめ。

出席してもらう同僚や上司、親族や友人に事情を説明して、謝りに伺ったり、式場に莫大なキャンセル料を支払ったり、後始末がそれはそれは大変でしたよ。

金銭的ダメージももちろんなんですが、周りの私を哀れむ視線が一番きつかったです。

周りが気を遣えば遣うほど自分が惨めになって、人を信じられなくなり、精神的にボロボロになった私は、彼女と新婚生活を送る予定だったマンションの屋上から飛び降りてやりました」


「お前……、苦労したんだな」


淡々と話す園田に、そんなありふれた言葉しかかけられなかった。


「私は今の手島さんと同じ霊魂の状態の時に、彼女の所在をなんとか突き止めました。

あんな騙され方しても、せめて付き合ってきた一年半は本当の愛があったと信じたかったんです。

そして彼女の元に走ったら……、彼女は腹の突き出た小汚いオヤジに抱かれていました」


「おい、辛かったらもう無理して話すなよ!」


俺は、背中を丸めながら息を荒げる奴の肩を掴んで、なんとか宥めようとした。


というか、むしろ俺の方がコイツの話を聞き続けることが辛すぎて、話を止めさせたかったのだが。


しかし、園田は怒りのボルテージが上がってきたのか、唾を飛ばしながらもなおも続ける。


「アイツ、処女だからって散々私におあずけ食らわせておきながら、自分はあのオヤジとそれはもう言葉にできないあんなことやこんなことをして悦びにふけっていたんです!

ねえ、手島さん! 処女って合体直前に手際よく避妊具を男性のアレにつけてあげられるもんなんですか!?

“有野さんのように”手際よく!」


興奮した園田は俺の両肩を掴んでユサユサ揺さぶった。


「……お前、さり気なく俺にダメージ与えるのやめてくんない?」


俺は小さくそう呟いたけど、興奮してしまった奴の耳には入らなかったようだ。


「ちくしょう! セツコの奴、あんなオヤジとヤレるならオレに一発位ヤらせてくれたっていいだろうがよ!

大していい女でもないくせにお高く止まりやがって。

童貞の何がわりいんだよ、下手クソだからダメなのか!?

なんなんだよ、処女だなんて嘘吐きやがって、あのアバズレが!」


酒を飲んでもいないのに、くだを巻いたようになってしまった園田の荒い口調にビビった俺は、下手にコイツを刺激してはいけないと思い、“そうだよな”とか“ホントひでえな”とか同調する言葉だけを選んだ。


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