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また君に会いたい
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君のいない所で-14

「夜景の綺麗なレストランで食事を終えた時、私は意を決して婚約指輪をテーブルの上に出し、“結婚して下さい”と頭を下げました。

すると彼女は、ポロッと涙をこぼしながらも嬉しそうに笑ってくれ、“私なんかでよければ”と言い、私からの愛の証を受け取ってくれました」


「そうか、お前カッコいいじゃん」


俺の嬉しそうな顔に、園田は顔を赤くしながら頬をポリポリ掻いた。


「そして私達は、半年後に結婚式を挙げることにしました。

長かった童貞生活も、ようやく終わりが見えてきて、私は式を挙げる日だけを心の支えにして、自分をコントロールしてきました。

でも、式を挙げることが決まればスケジュールってのは結構立て込んでいるから、あっという間に日々が過ぎて行くもんなんです。

結納、何回にも及ぶ式の打ち合わせ、衣装合わせ、余興の打診、出席者の確認や席順決めなど怒涛のスケジュールをこなし、気付けば1ヶ月後に式を迎える所までたどり着いていました」


そう言って園田は、結婚式を挙げるまでの面倒くささを俺に説明してくれた。


「あとは前払いで式場に500万円を払う所まで来ました。

お互い年も年だし、ささやかな結婚式でいいと思っていたんですが、彼女が一生に一度のことだからと望んだので、大掛かりになってしまったんですよね。

でも彼女が喜ぶのならと私は腹を決め、これから二人で一生懸命働いて行こうと約束し、結婚式のお金を私が300万円、彼女が200万円払うことに決めました」


心なしか、園田の顔に翳りが少し見えた。


「……当時、私は仕事が大変多忙で式場に足を運べなかったので、彼女に現金で300万円を託し、払ってもらうことにしたんです」


園田の曇った表情と少し下がったトーンに、なんかイヤな予感がしてきた俺は、これ以上コイツの話を聞いてはいけないという動物的直感のようなものが働いた。


だが、冷や汗を垂らす俺に気付くことなく、園田は淡々と話を続けていく。


「なぜか、彼女にお金を渡してから一切の連絡が取れなくなったんです。

彼女が住んでいたアパートももぬけの空。

彼女の働いていた会社に問い合わせてみても、“そんな人いない”の一点ばり。

そこで私は気付いたわけです、ああ壮大な結婚詐欺だったんだって……。

可笑しいでしょ、結納の時に彼女のご両親に会っているのに、そいつ等もみんなグルだったんですよ。

いい年して結婚詐欺なんて、あの人達ろくな死に方しないですよね」


乾いた笑い声をあげる園田に、なんて声をかけたらいいのかわからなかった。



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