17-10
「その人に告白した子達に聞いたんだけどね、フラれてるのはこっちなのに、その人は泣きながら謝ってくれたって」
「.......え?」
「心から好きってまだ思えないから、付き合えないって。そんな自分に告白してくれてありがとう、ごめんねって」
「..........」
鉄弥には、思い当たるフシがあった。
鼓動が早まる。
「もともと好きだったのに、それでもっと好きになっちゃったってさ。私も、それ聞いてますます好きになっちゃったんだよね」
「うん....」
「そんなに優しい人、誠実な人、いると思う?」
「さ.....さぁ....」
「...でもね、優しいだけじゃないの。ちょっと頼りないけど、ドジだけど、面白いの」
「うん....」
凜子は、言うなり鉄弥の手からビールを奪って、飲み干した。
CMかと思うくらい、飲み干す喉の音が響いた。
「鉄弥くん。.......私、鉄弥くんが好き」