16-6
「.....あー、それよかさ、凛ちゃんと学校外で合うなんて久しぶりじゃね?中二以来っしょ」
「そうだね。あの時は文化祭の買い出しだったよね」
「そうそう。懐かしいなー。他のやつらバックレたりして結局二人で行ったんだよな」
「そう!あ、覚えてる?あの時鉄弥くんね、結構な量の荷物を全部一人で持ってくれたんだよ」
「そうだっけ?」
「やっぱり覚えてないかぁ。あの時ね、鉄弥くんてバカだけど案外頼りになるもんだなって思ったの」
「バカと案外は余計だけどな」
凛子が笑った。
それだけで今日は目的を達成した気になった。
しかし、学校でのように上手く話せない。
気のせいか、凛子もぎこちない。
きっと元とかなら上手く場を盛り上げるんだろう。
途端に心細くなる。
目の前に座っている凛子は、意外にも私服は落ち着いていてお洒落で、鉄弥は内心ドキドキしていた。
姉の影響なのだろうか。
タイトな黒のリネンシャツから誇張される胸の膨らみ。
普段は纏めている黒髪は下ろされ、艶かしく光っている。
制服の時には一切気が付かなかった。
(凛ちゃん、胸大きいな....)
鉄弥も野郎である。
年頃も年頃なので考える事もそれ相応。
「鉄弥くん?」
「あ?あぁ、わりぃ」
「どうしたの?」
「あぁ、いや、考え事的な?」
「そう...」
「そう言えばさ、凜ちゃん前に記者になりたいって言ってたよね」
「うんっ。覚えてくれてるんだねぇ」
「そりゃ、ねぇ。でさ、何でなのかなーって」
「ええ?」
「そういえば、そこまで聞いたことなかったなと思いまして」
「あぁ......うん。あのね.....」
なにやら凜子はモジモジし始めた。
顔も赤らんでいる気がする。
鉄弥は、聞いてはいけない所に触れてしまった気がした。