16-4
-----------------------------------------------
PM7:00
一端帰宅した鉄弥は、悩んでいた。
服装で。
これはデートではない。
あくまでも“調査”である。
目立ってはいけない。
周りに馴染む服装でなければ。
しかし。
凛子である。
元に茶化されたせいもあるが、意識していないと言えば嘘になる。
と言うか寧ろ、本当に可愛いとまで思っている次第だ。
何時からだろう。
中学の時からか。
何かと首を突っ込んできてはちょこまかと聞き回る噂好き。
確かに変わり者だが、しかし変ではない。
寧ろ好奇心の赴くままに動く行動力には舌を巻く程だ。
何より、噂好きだが噂に流されはしない性格には素直に惚れた。
例え周りが悪く言っていても、凛子が直接接して悪い印象を感じなければ、それまで。
風評に流されない。
他の皆が凛子を変わり者の噂好き程度にしか見ていなくても、鉄弥は違った。
鉄弥少年は悩んだ。
待ち合わせ場所は三茶駅の喫煙所。時間まであと30分。
チャリなら10分も掛からない。
少年は、悩んだ。