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春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

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に乃花-9

「それでは先に検体を預からせていただきますね」

 さり気なく上品な仕草で看護師は言った。

 事前に知らされていた検体は、ぜんぶで三つ。

 一つは今朝の分の尿。これは専用の容器に入れて持参した。

 一つは排卵日のおりもの。これは付属のおりものシートに付着させてビニールパックに入れてきた。

 それともう一つ。バルトリン腺液やスキーン腺液と呼ばれる体液、いわゆる愛液だ。
 これもまた付属のタンポン状の物を膣内に挿入して、任意の回数だけしっかり出し入れをして体液を付着させる。

 その三つをもれなく準備して、看護師に手渡した。

 そうして泉水医師による問診がはじまり、生理痛や排卵痛の有無、程度、頻度、周期、そのほか当たり障りのない質問がいくつかつづいた。

 看護師は私の受け答えを聞きながら、問診票をチェックするペン先を目で追う。

 時折、私と目が合うと、目を細めて微笑む彼女。
 とても純粋で、嫌みのない眼差しだった。

「服を脱いで、ベッドに横になってください」

 やはりそれは避けられないなと思いつつも、こういうときにはなかなか決心がつかないものだ。

 医師としては見慣れた体かもしれないけれど、女性器に変わりない。

 観察されたり、触られたり、指摘されれば、泣いてしまう女性だっているくらいだ。

「恥ずかしいですか?」

 上着は脱いだものの、その先がなかなか行動に移せない私を見かねて、看護師が声をかけてきた。

「いいえ、大丈夫です」

 ぜんぜん大丈夫じゃないくせに、ついそんなことを言ってしまう私。

 ようやくショートパンツのウエストに指をかけると、下半身の体型に沿ってするりと下ろしていく。

 色んな視線が気になる。

 戸惑う手つきで下着を下ろしていく姿は、これからセックスをしようとしている女の恥じらいに似たものを錯覚させていたに違いない。

 空気がそよそよと恥部を撫でる。

 はじけるほどでもないけど、くずれてもいない、ほどよく熟れた下半身を私はさらした。

 恥ずかしさのあまり、つま先立ち気味にベッドまでの歩幅をとりながら、大事な部分に手を添える。

「そこへ両脚を乗せてください」

 私の裸にはまったく興味がないというふうに、泉水医師は先を急がせる。

「ここへ右脚を、そうです、力を抜いて楽にしてください」

 看護師のサポートで私の準備はできた。

 男の人から見れば、正常位でおそうにはもってこいの姿で、無防備な女が体をひらいているわけだ。
 この好機に甘えない手はないだろう。

 しかしここは病院なのだ。私一人が舞い上がっているだけで、彼らは至ってクールだった。


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