は乃花-8
肌は白く透き通り、顔も小柄で、目、鼻、口のバランスもととのっている。
私の顔をのぞき込む彼女。
次の瞬間には何が起きたのか、私の理解は追いつかなくて、お互いの顔が衝突しそうな距離にまで接近していた。
そうして間もなく接触する。
二つの唇が重なり合う感触。
彼女は私にキスをした。
感情のこもった、それこそ恋人同士のキスの肌触り。
拒否しなければと頭ではわかっていても、その場の雰囲気がそれをさせてくれない。
密着する唇と唇、お互いの息を交換する女と女、まみれる情熱。
彼女が私を求めて、私が彼女を求める。
発情した動物から漂う体臭をむさぼるように、本能のままに行為をつづけた。
「あふっ」
それはあまりにも突然すぎた。
男性スタッフが私の乳首に食いついて、じっとこちらを窺いながら、そこを舌でころがしはじめていた。
私の体が大きく仰け反る。
佐倉麻衣とのキスの接点が押しつぶされて、歯と歯がかるくぶつかる。
それでも口づけが止む気配はない。
左右の乳房はさんざん唾液にまみれて、乳首に関しては説明がいらないほど気持ちいい。
気持ちよさだけをアピールしている、意地悪な性感帯なのだ。
「ひっ、い、いいっ」
次には陰部がやられた。クンニリングスのヴァージンを奪われた。
そんなふうに上手に舐められたら、相手が誰であろうが理想の男性に思えてしまう。
舌先が膣内に入ってくる。
だめ、そんな中まで、いや、荒っぽくされると思っていたのに、ほら、その舐め方、やだもう、イっちゃう──。
キスの合間に漏れる音、乳首をしゃぶられる音、クンニリングスで愛液を吸い取られる音。
体中から、くちゅくちゅ、くちゅくちゅ、いやらしい音が溢れている。
感情が高ぶって、目に涙が浮かぶ。
アクメの直前はいつもこうなる。
そうして私は、キスの相手に喘ぎ声を吹きかけたまま、はげしい快感を膣内におぼえて、分娩台の上で昇天した。
子宮に被さるお腹が痙攣していた。
膣と直腸が、だらだらと快感を長引かせている。
「貴重なサンプルだから、慎重に採取するように」
泉水医師の偉そうな指示が飛ぶ。
私はまだ余韻から覚めることができない。