は乃花-14
「生理用品の繊維のほかに、シリコン片や、植物の細胞なども残留していました。心当たりはあるはずです」
「そんなこと……」
「あらゆる方法であなたが自慰行為をしていたという証拠ではありませんか?」
自分だけの秘密の部分が侵害された瞬間だった。
確かに自慰行為の経験はあるけれど、もう数年も前から絶っている。
「私、ほんとうにしてません」
「まあ、そういうことにしておきましょう」
居合わせた男性という男性の目の色が、いやらしく光っていた。
逃げ出せるのならそうしたかった。
「今日のところはアプリは使わないでおきましょう。実物の生殖器での治療だけ済ませて、明日に備えることにします」
彼の合図により、何人かの男性スタッフが下半身を露出させて、それぞれがオリジナルの男性器を勃起させていた。
痩せ型、メタボリック型、アスリート型。
その先端から透明な液を垂らして、私の体に狙いをさだめる。
分娩台の高さを調節して、彼らの腰の位置と、私の陰部の位置を合わせていく。
「そんなの、いや、やめてください……」
一人目の彼が被さってきた。照明の陰に入った彼の顔が黒く迫ってくる。
いいのか?いくぞ?とプレッシャーをかけてくる彼。
二人の腰が重なる。
汚らしい亀頭はラビアを割りながら、ミリ単位でゆっくりと中に入ってくる。
なめらかな鱗(うろこ)を持った爬虫類が巣穴にもぐり込むように、ぬめった感触が膣のひだを撫でていく。
「やあん……だめえ……ああ、あう、ううん……」
たった一度の挿入で、私の体はぴちぴちと反応し、二度目には腰がくだけ、三度目にもなるとどこもかしこも気持ちよくなった。
治療の目的をすり替えられているにも関わらず、私は女の反応をさらしつづける。
相手の腰の振り幅もだんだん大きくなり、ばくん、ばくん、と性器をたたく肉体が震えている。
泣き顔の自分。挿し込まれるペニス。噴出する愛液。彼の遠吠え。
「もうだめ、ああっ、ゆるして、あんっ、あん……」
それは自分の意図しない受け身の姿勢だった。
両脇をぎゅっとすぼめて乳房の谷間をつくり、女の生理を錯乱させる一突き一突きにたえる。
限界は遠くはなかった。
私の体は最高だと彼が言い、私も絶頂を仄めかす言葉を漏らした。
しぶきがほとばしる。
彼は膣内に射精して、私はそれを実感した。
液体の生き物が胎内に寄生していくようで、とても淫らな気分だった。
しかしこれは終わりではなく、しかるべき始まりだった。