は乃花-11
私は泉水医師の拳を実感したまま、人差し指、中指、薬指をまっすぐそろえて、そこにコンドームを被せる。
白いパンティストッキングとマタニティショーツを下ろして、両足を肩幅くらいにひらく。
彼女の準備はそれでじゅうぶんだった。
清潔なスカートの内情を、三本の指で撫でまわしていく。
確かな手応えを感じて、私は手を休める。
「あっ、いい、うん、気持ちいい……」
熱いものを口にふくんだように、佐倉麻衣は息を淀ませた。
彼女の陰部は粘液の膜に覆われ、私は指をスリップさせながら愛撫をつづける。
ごめんなさい、ちょっと失礼なことをします──。
心の中でことわったあと、禁じられた遊びに手を染めるように、私は妊婦の膣内をまさぐった。
「ああっ、んん、あ、うん、あん……」
彼女が喘ぐ。
「いっ、ああっ、うくん、あ、あ、あ……」
私も喘ぐ。
私が彼女の芯をいたずらに責めれば、泉水医師の的確な突き上げが私の急所を責めてくる。
三人の体温が一つにつながって、めまいを感じるほどのハイペースで、抜いて、入れて、抜いて、入れる。
今この瞬間こそが女としての絶頂期であって、生きる悦びを感じる営みだった。
セックスがしたくてたまらない──私の脳がそんなふうに震えていた。
熱烈な愛撫に終わりはなかった。
不貞、猥褻、淫乱、浮気、そんな言葉が浮かんでは消えていく。
もっとも敏感なスポットをくすぐられれば、そういう不潔な言葉はいくらでも出てくるような気がした。
「あわっ、はわっ、はあん、いいいく、あっ、いくっ、いくう……」
佐倉麻衣が峠を越えようとしている。
彼女の膣の締めつけに負けないくらいの愛撫で、私は彼女を楽に逝かせてあげた。
「いく……あううん……う……う……く……うん」
うっとり閉じる瞼、据わらない首、痙攣する腰つき、それでいて恥じらいがある。
彼女のオーガズムを目の当たりにした。
彼女にしてあげられることは果たしたつもりだった。
妊婦の膣内から指をスローモーションで抜いてあげると、彼女は力尽きてしゃがみ込み、少しの失禁と豊富な愛液で床を汚した。
涙を指で払って、私の指を悩ましく見つめる。
そこには、しわくちゃになったコンドームが被さっている。
彼女がそれを口にふくむ。
汚物を舐める仕草にも、なんともいえない雰囲気がある。
コンドームのはじを噛んで私の指から脱がせると、飴玉でもころがすような扱いで、はぐはぐと舌の上で吟味するのだった。