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春眠の花
【フェチ/マニア 官能小説】

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ろ乃花-3

 悪い性病でなければいいのだけれど、そのために病院で受診するのもなんだか恥ずかしい。

 生理だってだいたい毎月きているし、危険な性交や不衛生な自慰もやった覚えはない。

 電車に揺られながらそんなことを考えていたら、不意にお尻に触れるものを感じた。

 体に緊張がはしって、おどおどと振り返ってみると、そこには座席の手すりがあった。

 ろくに身動きもできないこの状況。痴漢を疑ってもおかしくないほど人と人とが密着している。

 性犯罪は他人事ではないのだから、その辺は日頃から過剰に意識しておかなければならない。

 不快な感触を消すために、お尻をかるく手で払った。

 ヒールの高い靴ほど電車の揺れには不利である。
 足を踏ん張るたびに、ふくらはぎがぱつんぱつんに張っているのがわかる。

 今日はスニーカーにしておくべきだったと反省していると、私の目線に一人の女子高生の顔が見えた。
 どこにでもいる普通の女子高生だ。

 この位置からだと二、三人を挟んだ向こう側だから、かなり近い距離だけど、人の隙間から顔がちらっと見えたり、たまに制服が確認できる程度だ。

 私がどうして彼女のことを気にしたのか、それは彼女の様子に原因があった。

 色白で肌荒れの痕もない可愛らしい顔から、余裕の色が消えていたのだ。

 言い方を変えれば、貧血とか生理痛で立っていられないふうにも見える。

 彼女くらいの年頃は、ときとして体調のバランスが不安定になる。

 私が支えてやりたいけれど、次の駅に着くまではそれも叶わないだろう。

 平成生まれの女の子らしい標準のルックス、その頬を赤らめて、体温の変調に呼吸がととのわないでいるのか、ピンク色の唇を半開きにしている様子がなんともつらそうだ。

 まわりの人は彼女には無関心な素振りで、さらには電車の揺れに合わせて彼女に体当たりをする始末。

 どこまで自己中なんだろう──。

 女子高生の右の彼も、左の彼も、どさくさに紛れて的な態度で彼女の体に触れては離れ、また触れる。

 そのとき私は、まさかの事態を想定した。

 痴漢──。

 彼女のほかにも女子高生はたくさんいる。
 みんな顔色も変えずに、普段通りのテンションでおしゃべりしている様子だ。

 それに比べるとやはり彼女の目は潤んでいて、耳まで真っ赤になっている。

 彼女を取り囲む状況もおかしい。

 まわりは男性ばかりだし、吊り革だってあんなに不自然に余っている。

 手を上げられない理由があるとすれば、それはもう少女に対する行為を果たすために繰り出されているとしか考えられない。


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