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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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白雪=憲の理想?-4

憲はいきなりテーブルに頭をおもいっきり打ち付けた。
「い、一体なんでそんな台詞が出てくるんだ?」
「だって憲はキャシーみたいな彼女が良いんだろ!?」
「はぁ?」
「言ってたじゃないか、三日ぐらい前に!」
「あぁ、独達と話してた時か。聞いてたのかよ」
「聞いてた!さぁ、どうなんだよ?!」
「必要ない!」
「え……?」
「金髪にする必要も豊胸手術する必要も一切ない!今の白雪で十分だ」
「だって、あの時は」
「確かにキャシー先生みたいな女性が彼女、ってのも心惹かれる話ではあるが、それ以上に俺は、白雪が好きだからな」
………顔が熱い。時々こうやって憲は恥ずかしい台詞をさらっと言いやがる。くそ、嬉しいじゃないか!
「じゃあ、憲。憲の理想を教えてくれよ」
「俺の理想?」
「そう、理想の彼女。アタシがなってみせるからさ」
「良いよ、なる必要なんかない」
「い〜や、なる」
「……言い方がまずかったかな。じゃあこう言おう。ならないでくれ」
……なんだって?
理想になるな?
「ど、どういう事だ?」
「……白雪、俺は『男』だ」
「知ってるよ。男じゃなかったら何なんだよ」
「まぁ、聞けよ。…白雪や俺ぐらいの男になるとな、純情そうな顔の裏に黒い欲望を抱えてるんだ」
欲望………。
「もちろん欲望だけじゃないけどな。今、お前が見てる俺の顔の裏にも欲望がある。そして、大概理想ってのはその『欲望』を塗り固めた物なんだよ」
欲望を塗り固めてできた理想……。
「俺は、白雪にそんな薄汚れた物になって欲しくない」
「薄汚れたなんて」
「薄汚れてるんだ、俺の理想ってのは。……そしてだ。もし、白雪が理想になって俺の前に現れる。そう考えると……怖いんだ」
「怖い?何が怖いんだ?」
「目の前に現れた『俺の理想の白雪』の声を聞いても、笑顔を見ても……抱いたとしても、俺は白雪を白雪と思えないかもしれない。そう思うと怖いんだ」
「アタシがアタシじゃない」
そんな事があるんだろうか……。でも、アタシにはわからない憲だけが分かる恐怖なんだろうな。
「だからな、今の白雪で十分なんだ。いや、今の白雪が一番なんだ。だから……」
「ならない方が良いんだな」
「あぁ…」
普通は逆だろう、とちょっと思っちゃった。
世の中、『理想の恋人を見つけたい』とか、『理想の恋人になって欲しい』とか考える奴は大勢いるだろうけど、『理想になるな』って考える奴はまずいないんじゃないか?
「でも、良いんだな?アタシは変わんないぞ。今のまんまだぞ」
「もちろん。言ったろ、今の白雪が一番だって。白雪の声も笑顔も、変な言い方だけど体も、艶のある綺麗な黒髪も好きだ。だいたい金髪はあんまり好きじゃない」
「キャシーの髪は綺麗だって言ってたじゃないか」
「キャシー先生の髪は『生まれつきの金髪』だから綺麗なんだ。染めたりする不自然な金髪やら茶髪は綺麗とは言えないからな」
ふぅーん。まぁ、ちょっとわかる気がする。
「でもな、憲。好きな所は外見だけか?」
もちろんそんな事ないってのはわかってる。憲は外見で人を判断する人じゃないからな。
確認したいと感じる乙女心ゆえの発言だ。
「もちろん外見だけじゃない。女っぽくなくて、短気で妙な所で世間知らずで俺の事が絡むとすぐ暴走するその性格も好きだ」
……本当に好きなのか?
「ふぅーん。本当か?」
「本当だ。何なら証拠みせようか?」
「よし、じゃあ見せてもらおう」
そう言って、アタシは目を閉じた。
え、見るんじゃないのかって?
目を開けながらなんて、ムードがないだろう?
と言うわけで、アタシ達はムードあるキスをした。



END


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