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好きと言って
【女性向け 官能小説】

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世なりとも-4


「うつつには逢ふよしもなし夢にだに間なく見え君恋ひに死ぬべし」

「え?」
突然ゆっくりとした口調でレン先輩が何かを言った。

「現実にはお会いできないので、せめて夢の中だけはいつもお会いしたい。
ってな意味だ。今の梨乃の心境」

「・・・・レン先輩が作ったんですか?」
「いや。万葉集」
「はぁ?万葉集?そんなもんがポンポン出てくるンですか?」

意外すぎてすっかり涙も引っ込んでしまった。

「・・・・俺、国文科なの知ってる?」
「今の今まで知りませんでした」
「・・・・あっそ」
「でも、素敵な歌ですね。レン先輩が言うと魅力半減ですけど」
「お前なぁ」
「でも、ありがとうございます。
うん。ちゃんと信じて待っています。夢の中なら会える気がします」

「よしよし。元気出せ。映画でも行くか」
「はい。ポップコーンはキャラメル味で。コーラはLでお願いします」
「・・・・途中でトイレに行きたくなってもしらねーぞ」



うつつには逢ふよしもなし夢にだに間なく見え君恋ひに死ぬべし

私はこの歌を忘れないように忘れないように
何回か口の中でとなえた。


夢の中だけでも会いたいよ。
ハルト先輩。





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