君の出した答え-7
二人はファミレスを出ると、肩を並べて芽衣子のアパートへ向かって歩き出した。
もちろん芽衣子が襲われたあの近道ではなく、遠回りでも人通りの多い商店街を抜けて。
「オレが飯誘ったのに、奢らせちゃってかえって悪かったな」
あのあと、明日のドライブの約束ができて上機嫌になった芽衣子は、伝票を素早く握り締めてサッサとレジに向かってしまったのだ。
「いいのいいの。
あたし、茂と一緒にご飯食べに行けば、いつもお財布出してたもんだから、実は奢られ慣れてないんだよね」
あっけらかんと言い放つ芽衣子とは対照的に、久留米は小さく眉根を寄せた。
久留米は割と金銭感覚がしっかりしていたから、俺のヒモっぷりにイラッとしたのかもしれない。
でも、コイツが芽衣子のそばにいてくれるなら、俺のせいで貯金が一切できなかった彼女も少しずつ金を貯めていけるはずだ。
二人で働いて、コツコツ貯金をしていけば、俺に食い潰された分はあっという間に巻き返せると思う。
そうすれば、二人は結婚に踏み切ることだってできるはずだ。
純白のドレスに身を包む芽衣子と、隣でガッチガチに緊張して立っている久留米の姿を想像すると、また可笑しくなってくる。
俺が相手じゃとてもこんな幸せそうな芽衣子の姿はイメージできない。
やはり芽衣子は、久留米と幸せになるべきなんだ。
心のどこかでもやがかかったような気がしたけど、それがなんなのかわからないまま、二人の後ろ姿を眺めていた。