君の出した答え-3
部屋の中は大分物が減ってスッキリしていた。
おおよその家具や家電は、芽衣子の会社の後輩に譲ったり、ガンガン捨てることにしたらしい。
徐々に殺風景になった部屋で、芽衣子と久留米はのんびり茶を飲みながら、他愛もない話で笑い合っていた。
そんな様子を尻目に、俺は積み重ねられた段ボールとは違う場所に置かれた、二つばかりの段ボールをチラリと見た。
この中には、俺の服や私物が入っている。
俺の持ち物なんて、服やCD、漫画本などどうでもいいものばかりであったけど、芽衣子は一つ一つ丁寧に段ボールにまとめていた。
そしてこの二つの段ボールだけは、他の段ボールと違って俺の実家の住所を書いた伝票が貼り付けられていた。
あとは宅配便に出すだけの状態でポツンと置かれた段ボール。
それを初めて見た時は、これで俺達は本当に終わってしまったんだな、とヘナヘナと力が抜けてしまった。
どれか一つでも俺の物を形見として持っていってもらえるかと淡い期待を抱いても、彼女は何一つ俺の持ち物を自分の段ボールに入れなかった。
また、二人でたくさん撮った写真の束を芽衣子が懐かしそうに見ていた時は、俺のことを考えてくれてるのかなと思ったけど、彼女は写真を見るだけ見たらスパッとゴミ袋に捨ててしまった。
芽衣子は、何一つ俺との思い出を久留米の元に持って行かないと決めたらしい。
やはり芽衣子の心の中にはもう俺はいないんだな。
そう思うと、涙が次々溢れ出して止められなかった。