君の出した答え-20
芽衣子のとっている行動は、まるで俺そのものじゃないか。
去年の夏、通りすがりの公園で、三人でやった花火の時もそうだった。
時間帯を考えない騒ぎっぷりに、やはり近所のおっさんが怒鳴り込んできたのだ。
まあ、うるさく騒いでいたのは俺だけだったんだけど。
怒り狂うおっさんに、俺はすかさず先ほどの芽衣子と同じように、なんやかんや理由をつけて、騒いでいたのはこの二人だと告げ口した。
奴らに怒りの矛先を向けさせ、自分は二人が怒られているのを悠々と眺めていたのだ。
そんなことを思い出しながら、したり顔でオヤジの陰に隠れた芽衣子を見る。
長い間付き合っても、こんなバカな真似をしなかったくせに、俺達が終わった途端になんで俺の真似なんかするんだ?
お前が選んだのは死んだ俺じゃなく、生きている久留米だろ?
久留米と一緒にいるときのお前の笑顔は、作り笑いなんかじゃなく心の底から楽しそうで。
さっきだって、このオヤジが乱入してこなければ久留米のキスを受け入れる様子で。
かと思えば、俺を思い起こすようなバカな行動なんかして。
俺達は終わったのに、俺は死んでしまったのに、なんでそうやって俺の心を乱すんだ?
ガミガミ怒られてる久留米を見て楽しそうに笑う芽衣子に心の中で問いかけるが、その答えはどうしてもわからないままだった。