〈三匹の牝豚〉-2
「ひ…大翔助けて……怖いよ……怖いよぉ!!」
架純の両手はブルブルと震え、前歯はガチガチと打ち合っている。
そのハゲオヤジの異常性を、本能的に察知したのだろう。
『≠$℃〜……§#£%∞¢!!』
「!!!」
ハゲオヤジはいきなり突進し、架純を抱きしめて押し倒した。
それはアンコウやガマガエルが電光石火の早業で、獲物を仕留めるような早さだ。
「う、うわあぁぁ!!か…架純いぃ!!」
「嫌あッ!!い…嫌あッ!!」
残された二人の絶叫が部屋中に響いた……やはり助からない……死を目前にしたような絶望の表情に二人は固まり、発狂したように叫び狂った。
「やめろぉッ!!こんな…汚い真…似………」
「ひろ…大翔ぉッ!!嫌あぁぁぁぁぁ!!」
大翔も瑠璃子同様にタオルで顔を塞がれると、脱力して静かになった。
毛布に包まれ、大翔までも連れ去られていく……もう助けなど、何処を探しても居ない。
『ゴメンね、架純ちゃん。君は売り物じゃないって伝えたんだけど、このオジサン勘違いしてるみたいなんだ……』
抱き着いてくるハゲオヤジを振り払おうと足掻く架純に、専務は薄笑いを浮かべながら呑気に話した。
明らかに、さっきの台詞とは違う言葉なはずだ……。
「大翔と…大翔と私は帰すって言ったでしょ?……ちょっとぉッ離してよぉ!!」
死に物狂いの抵抗にサロトは突き放されたが、それでもしつこく掴み掛かり、足首を掴んで引き倒して乗り掛かる……ワンピースは捲れて白いパンティーは丸出しになった。
『サロトさん、早いトコ静かにさせないと、その娘は舌を噛み切るかも知れませんよ?なんせ自殺まで仄めかしたくらいですから』
サロトは大袈裟に驚いた顔を作ると、強力な握力で架純の顎を掴み、口を開けさせた。
「あ"お"ぉ"ぉ"!!はごぉ!!!」
架純はサロトの腕を掴んで引き剥がそうと藻掻き、それが叶わぬとなると、胸といわず顔といわずポカポカと殴りつけて抗った。