届かぬ言葉-2
「余るくらい時間があったんなら、病気になる前に私と話せばよかったじゃない」
墓石を見ていられず、私は俯いていた。
「いつだって私たちのことは後回しで、死ぬときまで、それはないよ」
もう何を言っているのか、自分でもよくわからない。
でも最後に私は告げた。
「ごめんなさい、お父さん。許せない。許せないけど、最後に私のこと考えてくれて、ありがとう」
もう届きはしないその言葉を、私は父に向けて口にした。
〜End〜