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四季
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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四季-1

ガキの頃に感じた四季

春の朝は暖かくて、なんだか何かが始まるような気がして、とてもわくわくしていた。

夏は、初めて見る虫に驚きを隠せなくて。大声を張り上げながら、友達と虫編みをヘタクソにぶん回していた。夏祭りの花火がでかくて、綺麗で、明るかったのを覚えてる。

秋が来ると、ちょっと朝が肌寒くて。日が沈むのが早くなって、なんだか怖くなった。トンボを捕まえて、次の朝には死んでいて、なんとなく生命っつうのを知った。

冬は、とにかく雪が一番で。寒さなんか気にせずに遊びまくったんだ。朝に作った雪だるまが夕方には溶けちゃって、むきになって何回も作り直していたんだ。


ちょっと大きくなって、まだ子供なのに、もう大人なんだ!とか勘違いし始めた頃、四季が今までとは違うように捉えられるようになった。

春はとにかく眠くて、先生の話を子守り歌にしてよく寝ていた。
友達と花見になんか行って、初めて桜の美しさをしった。なんか、大人になった気がして、意味もなく自信が溢れていた。

夏は、蛙の声がうるさくて。だけどその声が、好きなあの子に電話する後押しをしてくれた。
いつまでも暗くならない、紫の空が、気持ちを開放的にしてくれた。

秋は、なにかと行事が多くて、放課後まで学校に残ることに微かな優越感を感じた。
日が落ちていく廊下を、あの子と一緒に談笑しながら歩いていた。
落ち葉を踏む音が面白くて、馬鹿みたいに友達と踏んで遊んでいた。

冬が来て、寒さに身をよく縮めていた。暗くなった帰り道を、彼女と手を繋いで帰った。顔は、体は、とても冷たかったけれど、彼女と繋いだ手。そして心はとても暖かかった。雪が降る灰色の空を見上げていると、なんだか自分が空を飛んでいるような気がした。


彼女の目には、今の季節はどう映るんだろう。今はもうわからない。俺も、もう前みたいに季節を感じることは出来なくなった。
けどそれは、また新しく季節を感じることが出来るということに他ならない。


俺の感じた季節は、俺にしか分からない。
だけど、あなたの目に映る季節は、あなただけのものなんだ。だから精一杯感じて、楽しんで、走り抜けよう。そして、また新しい季節を感じよう。


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