君を諦めたくない2-8
恋愛映画が苦手な俺だったけれど、ここ最近は映画をのんびり観ることがなかったせいか、やけに集中して観ることができた。
ジックリ観れば、時折笑える所もあったり、ハラハラしたりする場面もあったりで、ただただ甘い映画だと思い込んでいた俺は、しばらくすると時間を忘れたように見入ってしまった。
何より、ゴーストとなってしまったサムの気持ちがすごいよくわかる。
やはり、俺と芽衣子の置かれている状況がこの映画に似ていることが原因だろうか。
でも俺はサムのように、死んでもなお恋人を守るようなカッコいい奴じゃない。
逆に恋人の命を狙う俺は、まさに悪役がピッタリじゃねえか。
久留米だって、サムを殺す手引きをしたカールとは違う。
命がけで愛する芽衣子を暴漢から守り、長い間一途に彼女を想ってきたいい男だ。
むしろ、久留米の方が主人公にふさわしいのではないか。
俺は、主役を張れるような真っ当な男じゃないんだ。
……だけど。
でも、恋人に気付いて欲しいのに気付いてもらえないもどかしさ、別れなければいけない辛さ。
それは痛いほど理解できる。
サムの想いが、俺と共鳴しているような気がして、映画が終わり、エンドロールが流れ出した頃、俺は涙をボロボロ流していた。