君を諦めたくない2-6
そして彼女は、リモコンの再生ボタンを押してから、膝を曲げて口元を自分の腕にうずめながら画面を見やった。
狭いシングルベッドに二人少し距離を取り、座って映画を観る。
これが、俺達がいつも二人でDVDを観ていた時のスタイルだった。
映画を観るときの俺はそれに集中するために、芽衣子が頭をもたれてきたり甘えてきても、それを制していた。
芽衣子もそれが身体に染み付いているのか、ベッドの隅に座っていて、そこで落ち着いているようだ。
だけど、今夜の俺はこの少し離れた距離が淋しくて、ほんのわずかだけ、芽衣子の方へと身体をずらした。
「なんかキモイな、俺」
自分のしていることに笑いがこみ上げてくる。
今さらながら、芽衣子ともっと身体を寄り添い合って映画を観たいだなんて思うなんてな。
甘えたがりの芽衣子に、もっと甘えさせてやればよかった。
また、鼻の奥や目頭がジワッと痛む。
そんな自分をごまかすように、俺は芽衣子に
「疲れたらいつでも寄りかかっていいからな」
と、いつものように冗談めかして笑いかけた。