君を諦めたくない2-5
芽衣子は、テーブルの上に置かれた“ゴースト”のDVDを手にとった。
そして裏面の解説を一通り眺めてから、テレビとDVDプレイヤーの電源を入れた。
俺は、枕元に置かれた目覚まし時計をチラッと見てから、
「おい、明日も仕事あんだろ? いいのかよ」
と、芽衣子に声をかけた。
もうすぐ11時になろうとしていて、映画を一本観れば確実に日付をまたいでしまう。
「もう寝た方がいいぜ。
夜更かしすると肌が荒れるって愚痴ってたじゃねえか」
そんな愚痴を聞いても構わずに、キャバクラで夜遅くまで働かせていたのは俺だけど。
芽衣子は黙ってDVDをデッキに入れると、再びベッドの上に座り、壁を背もたれにして足を投げ出した。
ほどなくして、トップメニューの画面が映り、あの有名な主題歌の『アンチェインド・メロディ』の優しい歌声が流れてきた。
「そういや、お前とこうやって映画観んのはいつ以来かな。
ホントはもっと面白い奴観たかったけど、今日はこれで勘弁してやるよ」
無表情で画面を見ている芽衣子に優しく微笑んだ俺は、彼女の隣で、同じように壁を背もたれにして、足を投げ出した。