君を諦めたくない2-4
芽衣子はぼんやりした顔で膝を抱きかかえ、一点を見つめていた。
その視線の先にあるのは、漫画が並んだカラーボックスの上に立てかけられていた写真立てだった。
そこにはスノーボード合宿の時に撮った、俺と芽衣子と久留米の姿が写っていた。
芽衣子を真ん中にして、屈託のない笑顔を見せる俺達三人。
こんな風に三人でバカみたいに笑うことは、もうできねえんだよな。
そう思うと、途端に自分が死んでしまった事実がたまらなく悔やまれてきた。
もし時間が戻せたら死ぬ前に戻ってあんなバカな真似は止めるのにな。
そう思いながら芽衣子の顔を見つめた。
頬の腫れはいくらかマシになっていたようで、俺は
「いや、いっそのことこの写真の頃まで戻って、久留米が割り込めないくらい大事にしてやるのにな」
とそっと芽衣子の頬に手を伸ばした。
しかし、すんでのところで園田にした約束を思い出して動きを止める。
あと数センチで芽衣子に触れるのに、それすらできないなんて。
俺は舌打ちしてから、その手を引っ込めた。
すると、悔しくて下唇を噛み締めている俺を尻目に、芽衣子は突然ベッドからそっと降り立った。