君を諦めたくない2-2
「お前はマジでああ言えばこう言う屁理屈野郎だな!
久留米の肩ばっか持たねえで、少しくらい気利かせて二人きりにさせろ!」
俺は園田の眼鏡を持ったまま、玄関をすり抜けて外に出た。
「あっ、何するんですか! 返して下さいよ!」
園田の言葉を背中に受けつつ、俺はアパートの二階から、裏手の雑草だらけの茂みの中に眼鏡をポーンと放り投げてやった。
「ああっメガネ、メガネが!
何するんですか、あれ高いんですよ!」
カンカンカンと靴を鳴らし、慌てて階段を駆け下りる園田。
そんな奴の背中を見つめながら俺は少し真面目な口調で、
「園田頼む、成仏ポイントを下げるような真似はもうしねえ!
……だから、せめて今夜だけは芽衣子と二人きりにさせてくれ!!」
と叫んだ。
俺の話が聞こえていたのかいないのか、奴はうんともすんとも言わずに眼鏡をぶん投げた方角へと走っていった。
そして眼鏡を探しに暗がりへと消えて行く園田の後ろ姿を見つめながら、
「……サンキュー」
と小さく頭を下げた。