君を諦めたくない2-10
寝息に合わせて芽衣子の胸が上下に動く。
――生きててよかった。
俺は心からそう思いながら、寝息を立てる芽衣子の顔をじっと見下ろした。
コイツの寝顔をじっくり眺めるなんていつ以来だろう。
最近はすっかり回数が減ったけれど、ヤるだけヤったら、お互い背を向けて眠ることが多くなっていた。
芽衣子が背中を抱きしめて来ても、“暑いだろ”と突き放してばかりだったからだ。
俺は芽衣子にどれだけ淋しい想いをさせてしまっていたのだろう。
うまくいってた頃は、ヤったあとだってたくさんキスを交わし、イチャつきながら眠りについていた。
大抵俺より早く眠る芽衣子の寝顔を見ては、幸せを感じていたのに。
もうそれすら面倒くさくなって、コトが済んだらサッサと背を向けるようになってしまったのだ。
裸の芽衣子にちょっかい出しては怒られて、笑い合った日々はもう遠い昔のことだ。
あんな当たり前の幸せがもう二度と戻らないと思うと、見つめていた芽衣子の寝顔がやけにぼやけてきた。
涙で芽衣子の寝顔が歪んで、どうしようもなく胸が苦しくなってきた俺は、
「……園田、約束破ってごめん」
と、奴の顔を思い浮かべて詫びを入れてから、芽衣子にそっとキスをした。