第六話(エピローグ)-2
「お前、ビールなんて飲むのかよ」
「何よ。医者はストレスが溜まりやすいのよ」
「まだ研修生なんだろ?」
「ユイね。あのお喋り。研修生だってストレスは溜まるんです〜」
べーっと子どもみたいに舌を出す女性客。というか、まぁ、クラコ。
「そうだ。今の店員、ヨッシーの奥さんなんだぜ」
「知ってる。仲間内で知らされてないのは凌駕だけ」
「俺だけハブにされてたのね」
得意げに話したのに馬鹿みたいじゃん。
「・・・」
「・・・」
会話が途切れてしまった。何せ六年ぶりの再開だからな。何を話せばいいかわからない。クラコ、綺麗になってやがるし。胸は、成長してないみたいだけど。
「今胸見てたでしょ」
「っ!?」
慌てて目を逸らすも時既に遅し。
「どれだけ欲求不満なのよ」
「ひ、人を盛りのついたオスみたいに言うのはやめろ!」
「実際そうでしょ?ユイから色々聞いてる」
「な、に・・・!?」
「一度も手を出してこないーってね。だから、私のナイスバディに欲情しちゃったんでしょ。あー怖い怖い」
「ナイスバディ・・・ぷっ」
「・・・そういえば私。今彼氏がいるの」
「えっ・・・そ、そうか」
それは唐突な告白で、とてもショッキングな事実だった。
「結婚も考えてる」
「ふ、ふーん」
「妬いた?」
「な、なんで俺が・・・」
「まぁでも安心して。嘘だから」
「は、はぁ!?」
「顔がニヤけてる。気持ち悪い」
「くっ、お前は相変わらずだな」
彼氏、いないのか。そうかそうか。
「俺、唯に振られたよ」
「知ってる。色々聞いてるって言ったでしょ」
色々って曖昧だな。一体どこまで聞いてるんだよ。
まぁいいか。とりあえず今は。
「だから結婚しよう。三重子」
「イヤ」
「即答!?」
しかも断られた!もう死ぬしかない!
「まだ約束が果たされていないもの」
「じゃあどうしてこうして俺と会ってるんだよ」
「それは、凌駕がユイと別れたから。でも結婚は別。それはあくまで十年後、今からだと・・・三年後ね」
「三年もお預けだなんて・・・」