第五話-4
「でも、もう独りはやだよ!みんなといるのが、楽しくて、幸せで、今さら中学生の頃みたいには戻れない!」
両親が死んでからは一人で、烏丸さんが来なくなってからは本当に独りで、高校にあがって、俺たちと出会ってしまった。
・・・ん?出会ってしまった・・・?
「ユイ。聞きたいことがある」
「・・・なに?」
「高校に入学してから俺やクラコ、ヨッシーに話しかけたのはユイだ。ユイのおかげで、俺たちは友達になれたと言っても過言じゃない」
「えっへん」
この状況下で威張りやがった。予期せぬ反応。
「でも、どうしてなんだ?中学生の頃は、友達がいなかったんだよな?」
ユイやみんなの話を統合すると、そういうことになる。ユイに友達ができたのは、俺たちが初めて。少なくとも両親が死んでからは。
「それはね、クラコのおかげなの」
「クラコの・・・?」
「うん。一年生の時、私とクラコは同じクラスだった」
「ああ。知ってる」
俺がクラスメイトと食堂で昼食をとっていたら、クラコを連れてやって来たんだったな。そしてその次の日には、ヨッシーを連れて家へとやって来た。
そのくらいの行動力があるなら、中学時代だって友達ができているはずなんだ。
「初めて話したのは、ゴールデンウイークに入る少し前だった。私、クラスメイトにいじめられてたんだ」
「え・・・初耳だぞ。誰だよそいつ」
「それはもう終わったことだからいいの。それでね、いじめの理由が、親がいないってことで・・・」
親がいないから男連れ込み放題だな、とかなんとか。当時のクラスメイト(恐らくは女子)に言われていたらしい。
それを救ったのが、何を隠そうクラコだったとか。
「『高校生にもなって恥ずかしくないの?気持ち悪い』って」
「はは・・・」
あいつらしいといえば、あいつらしい。彼氏の俺にすら毒舌なんだからな。
「『こんな低脳の言うことなんて、気にするだけ無駄よ』とも言われた」
「うわぁ・・・。よくそれで、いじめのターゲットがクラコに移らなかったな」
「一時は移ったよ。でもゴールデンウイーク明けに私たちが友達になったでしょ?」
「それでいじめがなくなったって?」
「ううん。私とヨッシーで、クラコをいじめた人たちを説得しに行ったの」