投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

男女四人春物語
【純愛 恋愛小説】

男女四人春物語の最初へ 男女四人春物語 30 男女四人春物語 32 男女四人春物語の最後へ

第四話-1

「おはよう。凌駕」

目が覚めると、すく隣にクラコの顔があった。
昨夜のことを思い出し、顔が熱くなる。

「今9時よ」

だがその言葉に一気に意識が一転する。

「完っ全に遅刻じゃないか!?起こしてくれよ!」
「今日は土曜日。学校は休みよ」
「え、あ・・・」

焦って損した・・・というか、わざとか?俺が焦ると見込んでわざと時刻を告げたのか!?

「ねぇ、凌駕・・・」

クラコは唐突に悲しげな表情になり、言葉を紡ぐ。

「私、今日は残酷なことをするつもりなの」
「残酷なこと?」
「うん。ユイを傷つけてしまう。多分、凌駕のことも」
「よくわからないが、なんでそんなことするんだ?」
「必要なこと。ケジメをつけるために」

ますますわからない。なぜクラコがケジメをつけるために、俺やユイを傷つけなければならないんだ?
・・・俺を、傷つける・・・?
俺はひとつの仮定にたどり着き、恐る恐る尋ねてみる。

「俺と、別れたい・・・みたいな、話か・・・?」
「ううん。別れるつもりはない。少なくとも私は」
「妙なこと言うな。俺だってクラ・・・三重子と別れる気は一切ないぞ」
「・・・そうね」

クラコの表情は悲しげなまま。それでもケジメをつけるというのなら、俺は友達として、彼氏として、頑張れと言うべきなのだろうか。

「私、凌駕のこと好き」

またしても唐突に気持ちを告げられ、顔も二度目の熱さを帯びる。

「ユイのことも。ヨッシーのことも。みんな、みんな大好き」
「クラコ・・・?」

クラコがここまで素直に気持ちを吐露したことがかつてあっただろうか。いや、ない。あったかもしれないが、今のように悲しげな表情で言ったことはない。断言できる。

「さて、と。顔を洗ってくる」

そう言って起き上がるクラコの表情からは、既に先ほどまでの悲しげなものは消えていた。
頑張れ。
内心でそう応援し、クラコの背中を見送ってから俺も起き上がる。

    ***


『やっぱり、私たち・・・付き合うべきじゃ、なかったのかもね・・・』

そんな電話があったのが、正午前。クラコが帰って一時間が過ぎた頃だった。
困惑して色々尋ねようとしたのだが、クラコが一方的に通話を終了させ、挙句電源を切ったらしくそれ以降連絡が取れなくなった。



男女四人春物語の最初へ 男女四人春物語 30 男女四人春物語 32 男女四人春物語の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前