第四話-6
俺の携帯の中にも保存されていて、ユイやヨッシーもそうであろう記念写真。
海、山、川、その他にも、この二年で色々な所へ遊びに行き、その度にこうやって写真を撮影していた。その中に映るどのユイも、やはり満面の笑顔を浮かべていて、家族がいないことが嘘のように、とても楽しそうで。
「ユイが、どうして凌駕のことが好きなのか、聞いた?」
「いや、そこまでは・・・知ってるのか?」
「うん。親友だもの」
「どうして、なんだ・・・?」
一緒にいて楽しいから。
クラコはそんな言葉を口にする。
「それなら、ヨッシーでもいいんじゃないか?別に俺でなくても・・・」
そう。ユイが俺ではなく、ヨッシーのことを好きになっていてくれていたなら、クラコと喧嘩することはなかったはずなんだ。
「ヨッシーは、単純に好みじゃなかったんじゃないの?」
「ひでぇ・・・」
「実際のところはわからないけどね。ユイにしか」
「それは、まぁそうだな」
ユイがヨッシーではなく俺を選んだ理由。それはクラコにすら話していなくて、ユイ本人しか知らない理由。
「三重子は、どうして俺のこと好きになったんだ?一緒にいて楽しいから?」
「まさか。そんな単純な理由じゃないわよ」
「じゃあ、どうして?」
「入学試験の時、道に迷ってたら、凌駕が案内してくれたでしょ?きっかけは、多分それ」
それも充分単純な理由だと思うが。
「でも待てよ。たしかに俺はあの時、女の子を案内したけど、あれはクラコじゃなかったはずだ」
「あの時は、メガネかけてなかったもの。コンタクトもしていなかった。今まで私がメガネを外したところ、見たことある?」
「・・・ないな。昨夜もかけたままだったし」
「ゆ、昨夜の話はいいでしょ!」
いやしかし、あれのおかげで俺には『メガネ属性』があるのだと知ることができた。今度是非、メガネとナース服の最強コンボで・・・。
「顔がニヤけてる。気持ち悪い」
「彼氏に対して酷い」
「今のは友達に言ったの」
「そうですか」
どっちも俺であることに変わりはないんだけど。
「それで、えっと、何の話だっけ?」