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男女四人春物語
【純愛 恋愛小説】

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第二話-8

ユイは時折寂しそうな表情をする。ヨッシーを含む俺たちと一緒の時でさえも。
そして、俺はユイの家を知らない。家族のことも。だからもしかしたら、ユイは家庭に何らかの問題があって、それで寂しそうな顔をするのか・・・?

「・・・」

いや、それは少しばかり想像が過ぎる。ユイの好きなアニメなんかには、そういう内容のものもあるかもしれないが。

「クラコ。リョウが真面目な顔してる」
「ホント。気持ち悪いわね」
「・・・」

なんで考え事してるだけで傷ついているのだろうか、俺は。

「あれぇ?みんなで昼食なんてズルいなぁ」

お盆にカツ丼(大盛り)を乗せたヨッシーがやってきて、文句を言いながらも俺の隣に座った。

「どうしたんだよヨッシー。もう昼休みも半分くらいしか残ってないけど」
「ちょっとやることがあってね、それで食べるの遅くなっちゃったんだよ」
「ふーん」

どうやらそういうことらしい。
というか、ヨッシーが箸を使って食べるカツ丼を選ぶとは。いつもはスプーンで食べられる料理しか選ばないのに。
などと思っていると、ヨッシーは懐からケースを取り出し、そこからフォークを取り出す。

「ヨッシー。それはなんだ?」
「何ってフォークだよ」
「それは見りゃわかる。フォークで食べるのか?カツ丼を?」
「最近、スプーンじゃなくてフォークを集めるのにハマったんだ」

だからって何故箸を使わないのか。ヨッシーなりのポリシーみたいなものなのか?

「ヨッシー!ついにマイフォークを手に入れたんだね!」
「うん。苦労して手に入れたんだ」

フォークなんてそこらのスーパーにも売ってるだろうが。苦労せずとも手に入る。

「さて、私はもう行くわ」

そう言い立ち上がるクラコ。俺もそれに続く。

「どうしてリョウまで立つのよ。ヨッシーと仲良くやってなさいな」
「いや、なんとなく」

座り直すと、入れ替わりにユイが立ち上がった。

「それじゃあ私がリョウの代わりにクラコの相手をする!」
「私は子供か」

クラコはユイと共に去っていき、俺とヨッシーだけが残された。

「ヨッシー。聞きたいことがあるんだけど」
「なんだい改まって。どうしてスプーンだけじゃなくて、フォークも集め出したのかってこと?」
「そんなことはどうでもいい」




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