第二話-4
「そうだな。結婚するかはともかくとしても、俺だってみんなとずっと一緒にいたい」
「私も私も!」
「みんなよく恥ずかしげもなく言えるよね」
俺とユイの同意に対し、ヨッシーが冷静にツッコミをいれてきた。
「は、恥ずかしいわよ・・・」
クラコは恥ずかしかったらしい。俺はそんなことないけど。
「恥ずかしがってばかりじゃ、伝わるものも伝わらないもんね」
「・・・そうね」
ユイは時々確信めいたことを言うが、やはり何か後悔していることでもあるのだろうか。
「ところでヨッシー。結婚と言えば、ヨッシーは卒業したらどうするの?」
「僕は調理系の大学に行くつもりなんだぁ」
「お店出したら、一番に私たちを呼んでね!」
「そのつもりだけど、まだまだ先のことになると思うよ」
卒業後か・・・正直、何も考えていない。
大学に行ったほうが将来的に安心できそうだが、どの大学に行けばいいのかさっぱりだしな。
「そう言うユイはどうなの?」
「私は働くよ〜!無難にOLかな〜って考えてる!」
「ふーん。リョウは?」
「あ、ああ・・・考え中だ」
「もしかして決めてないの?ぷぅになったら別れるから、大学行くなり就職するなり、きちんと考えておいてよね」
別れる宣言をされてしまった。
こうなったらどこでもいいから大学に行くしかない。いっそダメもとで東大とか。
「クラコは?一緒にOLになる?」
「やめておく。私、医者になりたいのよね」
初耳だった。てっきりヨッシーと同じで調理系の職につきたいのかと思っていたが、考えてみればクラコは料理は上手いが、料理するのが好きとは一度も聞いたことがない。
「お医者さん?看護師じゃなくて?」
「そ。ナースじゃなくてドクター」
「そっかぁ。ナースだったら、リョウが喜びもがもご」
俺の性癖を意図も簡単に話そうとするヨッシーの口を、エビ天を突っ込んで塞ぐ。
「隠さなくても、もうバレバレだから」
「え・・・?」
「あのね。二年もリョウの家で遊び続けていれば、それくらいの情報はイヤでも入ってくるわよ」
「情報・・・」
さてはこいつ、勝手に人の部屋のタンスや押入れを開けたな。油断も隙もないやつめ。