第二話-3
人生というものは厳しい。
「いつもどおり、ユイたちと食べるんでしょ?」
「ああ。クラコと二人きりで食べる気にはなれないからな」
「どういう意味よ」
そんなやりとりをした後、クラコと共に食堂へ。
既にユイとヨッシーが席をとっておいてくれたので、俺はヨッシー、クラコはユイの対面にそれぞれ腰を下ろす。
「ねぇねぇ、デートとかしないの?」
「しないわよ」
唐突なユイの問いに、クラコは即答し・・・ちょっと待て。
「デートしないって、なに言ってんだよ」
「リョウこそ何を言っているの?今までどおりに接するって、昨日決めたでしょう。何度言わせるつもり?」
たしかに今までどおりにすると決めた。
だがそれはユイやヨッシーとの関係を崩さず、かつ恋人としての関係を続けるという意味だ。
決してデートをしない、という意味ではない。
「クラコ。デートしなよ!」
俺が反論するよりも早く、ユイがそう言ってくれた。
「でも・・・いいの?」
「うん。私は、クラコが、ううん。みんなが幸せなら、それでいいの」
「ユイがそう言うなら、私は構わないんだけど・・・」
「僕としても構わないよ。クラコはリョウと結ばれるべき」
また、疎外感。
三人は一体なんの話をしているんだ?
「そういうわけだから、デートするわよ。今日の放課後でいいわよね」
「また急だな」
「何よ。何か用事でもあるの?」
「そういうわけじゃないけど」
「じゃ、決定ってことで」
急とはいえ、デートできるのは素直に嬉しい。
だがなんだ?このえもしれぬ不安感は?初デートで緊張でもしているのか?
「クラコはリョウと結婚するの?」
「ぶほっ、ごほっごほっ!」
ヨッシーの飛躍しすぎの質問にむせるクラコ。食べていたしゃけを口の中から噴き出しやがった。
「し、知らないわよっ!」
「じゃあ質問を変えるね。結婚する気はあるの?」
「そ、それは・・・」
クラコはユイと目を合わせると、うつむきがちに言う。
「少なくとも、私はずっとリョウと一緒にいたい」
初めてクラコの口から聞けたその言葉に、思わず頬が熱くなってくる。
「でも、同じくらいユイと、それからヨッシーとも一緒にいたい」