第一話-10
「まあね。家に帰ったわけじゃないもの」
そう言うクラコはもちろん学校指定の制服を着用している。
昨日泊まりに(元々は日帰りで勉強をするはずだったのだが)来たときは、制服はもちろん着がえすら持ってきていなかったはずだが。
「じゃあその制服どうしたんだ?誰かに借りたのか?」
言ってからふと、クラコには俺たちくらいしか友達がいないはずと思った。こいつは病的なまでに人見知りが激しいのだ。
「これは正真正銘私の制服よ。ユイの部屋に置いておいたの」
「ユイの・・・?」
ユイの家は俺の家から近いのだろうか。二年もつるんでいるが、ユイの家だけは未だに知らない。
俺だけではなく、ヨッシーも知らないらしい。
「それはそうと、今朝の返事だけど」
どくん、と心臓が跳ね上がる。
今朝の返事。つまり、俺が告白したことに対する返答。
「オッケーすることにしたわ」
しれっと。
あまりにも自然に言うので、なんと言われたのか一瞬理解が遅れた。
「つ、付き合う、ってことか・・・?」
「それ以外に何があるの?」
「な、ないな・・・いや、ちょっと頭がこんがらがって」
我ながらなんて愚かな質問をしてしまったのだろうか。
ともかく。
俺とクラコは、友達から恋人へと関係が変化した。
第一話 終