第7話-18
「まぁ、とにかく」
気分を切り替えるかのように、圭輔は英里の体を背後から抱き締めると、
「これからは、何があってもずっと一緒だ」
すっと、表情を引き締めて、真剣な眼差しで、英里にそう告げる。
彼のスイッチが切り替わる、彼女にとって一番胸が高鳴る瞬間。
「……はい」
愛しさが、溢れそうなほど全身を満たして、どうすればいいかわからなくなる。
一人で浴室にいた時からずっと、彼が恋しくて、体が熱くてたまらない。
密着した彼の胸の鼓動が、背中から伝わる。少し早い、けど心地良い律動。ずっと、このリズムを感じていたくなる。安心する温もり。
「大好き……」
愛しさを込めてそう言うと、回された圭輔の腕を、ぎゅっと抱き締めた。
それを合図にするかのように、圭輔は英里の顔を斜めに向かせて、口付けた。
唇で愛撫をするかのように、下唇、上唇を交互に軽く食み、また唇を重ねる。
「んぅっ……」
何度も口付けては離れ、短いキスを繰り返すうちに、徐々に深いキスへと変わっていく。
跳ねるような水音が、部屋に響く。
柔らかい感触に酔い痴れ、漏れる湿った吐息が気分を昂らせる。
英里はそっと薄目を開くと、圭輔と目が合い、気恥かしくてまた瞳を閉じた。
長い睫毛に縁取られた、彼女の白い瞼に圭輔は唇を寄せると、英里の体が震える。そして、また唇へ……いつまでも続くかのような長い接吻。
片手でタオル越しに彼女の胸の膨らみに触れながら、唇を貪る。互いの舌を絡め合う。熱い吐息が混じり合う。二人の周りだけ、まるで密度が高まったように息苦しい。
差し込まれた舌が離れようとすると、名残惜しむかのように英里は再び圭輔の舌に自らの舌を絡みつかせる。それに触発された彼もまた、激しく彼女の口腔を蹂躙する。開かれた唇の端から唾液がつぅっ、と零れ、英里の鎖骨の辺りに滴り落ちる。
「はぁ……」
接近していた互いの顔が離れ、一息吐く。
キスだけで、こんなに感じてしまう。英里の頭は既に意識が朦朧とする寸前だった。
目の前の圭輔も、肩で荒く息をしながら、興奮したように頬を紅潮させていた。
初めて抱いた時よりも少し積極的に、彼に応えてくれる彼女が愛おしい。
英里の手が、彼の頬に触れると、圭輔はその手を取り、彼女の白い指先1本ずつ口づける。
まるで、彼女の体が全て自分のものであると刻み付けようとするかのように隅々まで。
彼に所有されるようなその感覚は、英里に恍惚とした愉悦を与える。
全部彼のものにして欲しい。そんな倒錯した願望が沸き起こる。
爪の先まで敏感になり、彼の唇が触れる度、痺れるような快感が流れる。
そのまま、額、頬、首筋と、唇を落としていく。
耳朶を甘噛みしながら、タオル越しに彼女の胸の蕾を指先で円を描くように撫でると、どんどんと堅くなっていくのが感じられる。
「あっ、んんっ……」
タオルの上からでも存在感を強調し始めているその部分に触れる度にぴくんっ、と彼女の体が反応する。
圭輔は再び軽く息を吐く。度重なる口付けで頬を上気させ、潤んだ瞳で自分を見つめる彼女の姿。
既に挿入できそうな程、自分のものは熱く漲っている。早く、彼女の素肌に触れたい衝動を抑えられない。
「英里、これ、脱がしてもいい……?」
一瞬、間があったが、彼女は無言で頷くと、自ら体を隠しているバスタオルを取り去った。
恥ずかしいけれど、今は一刻も早く彼の温もりを感じて、安心したかった。
桜色に上気した、肌理の細かい肌が露わになる。
そして、彼女のまとめていた髪を解く。さらりと、長い髪が空を舞い、彼女の白い背中を覆う。
……何度見ても、綺麗だ、と圭輔は息を呑んだ。
圭輔は両手で英里の胸を包み込み、大きく捏ねるように揉みしだきながら、指先ですっかり勃ちきった乳首を摘む。彼の指を押し返してくるかのような、弾力をもったその部分。
先っぽを擦ったり、爪先で軽く掻いたりと、強弱をつけて刺激すると、鼻に掛かった甘い声が、彼女の半開きの口から断続的に漏れる。
白い胸の質量を確かめるように、ゆっくりと乳房全体を揺らす。
親指と人差し指で赤い突起を挟み、くりくりと扱きながら、時折軽く引っ張る。
英里の体にむず痒いような快感が走ると同時に、下半身が疼くのを感じた。
(熱い……)
子宮の奥が既に熱を孕んでいるかのように、滾っている。
眼鏡をしていないせいか、ぼんやりと、目の前の視界が歪む。
快感で体が熱くて、何も考えられない。
そして、臀部に熱い彼の塊を感じる。
英里は、後ろ手でそっとそれに触れ、優しく握る。
「んっ……え、いり……」
思いがけない彼女の愛撫に、思わず大きな喘ぎ声が、圭輔の口から漏れる。
これが、いつも中に……そう考えただけで彼女の秘部からははしたない蜜が止め処なく溢れ出る。
熱くて、堅い、愛しい彼のもの。
少し手の位置をずらして、先端に触れる。ぬるりとした粘度があるそこを指先でくるくると刺激すると、彼のものがビクビクと震える。
「だ、めだ、触ったら……っ!」
「どうして、ですか?私も、圭輔さんのこと、愛おしくて堪らないのに……」
途切れ途切れにそう言いながら、圭輔の噛み殺したような喘ぎ声に、胸が熱く高鳴るのを感じた。
亀頭を手の平全体で軽く撫で、そこから滲み出た先走り液で手を濡らすと、根元を握って軽く上下に動かす。
耳元を掠める、彼の少し低くてくぐもった声が、彼女をより昂ぶらせ、手の動きを大胆にさせてしまう。
彼の肉棒がどくどくと脈打つのを、握った手の平越しに感じる。彼の匂いが鼻腔を刺激し、理性が保てない。濃い、男の臭い。