君を諦めたくない1-6
「……芽衣子」
久留米がやや神妙な面持ちで芽衣子の顔を見つめた。
「ん?」
「あのさ、お前このアパート引き払ったらどうだ?」
突然の奴の言葉に、芽衣子もそして俺も、目を丸くして久留米の顔を見た。
「どうして……?」
「いや、最近ずっと考えてたんだけど、お前がここに住んでる限り、アイツのことにケリつけられないんじゃないかって思っててさ。
アイツとの思い出が詰まってて、お前にしてみれば大事な場所かも知れないけど、いつまでも一人でズルズルここにいたって、絶対前に進めないと思うんだ」
「久留米くん……?」
「オレの部屋を大掃除したのは、実はそれが理由なんだ。
勝手ながら芽衣子がいつ来てもいい準備してた。
もし芽衣子さえよければ、オレのアパートで一緒に暮らしたいって思ってな。
そうすれば茂のことだって少しずつ忘れさせてやるつもりでいたんだ。……それに」
少し言いよどんでいた久留米は眉を寄せ、芽衣子の左頬に貼られた冷却シートをチラッと見てから再び言葉を繋げた。