君を諦めたくない1-4
芽衣子は久留米から返されたDVDを手に持ち、懐かしそうに目を細めて見つめていた。
彼女がいちばん好きだって言ってた映画、『ゴースト 〜ニューヨークの幻〜』のパッケージが俺の目にも映った。
そういえば久留米に貸していたんだよな、すっかり忘れていた。
「ずいぶん古臭い映画が好みなんですね」
園田が口を挟み、すかさず俺が睨みを入れる。
「お前はなんでいちいち人をイラつかせることばっかり言うんだよ、この時代は名作が粒ぞろいだぞ」
「この時代ならば、私は“バック・トゥ・ザ・フューチャー”とか“ダイ・ハード”とかの方が断然好みですね」
「お、意外と趣味合うじゃねえか。
“バック・トゥ・ザ・フューチャー”シリーズならDVD持ってるぜ。
ほら、そこの棚にあるだろ?」
俺はそう言って、テレビ台の横にある縦に細長い茶色い棚を指差した。
「あ、ホントだ! 久しぶりに観たいなあ。今度貸して下さいよ。
私、これ観るとすっごく前向きな気持ちになれるんです」
「あー、前向きになりたいならもっといいやつ知ってるぞ。
俺が個人的にオススメなのはな……」
と、ニコニコしながら映画談義に花を咲かせかけた途中で我に返った。