君を諦めたくない1-2
手当ても、気を利かせたつもりのココアも要領を得ないでしまった久留米は、少し恥ずかしそうな顔をして、
「オレ、ココア飲まないから作り方がイマイチわかんなくて適当に作っちゃったんだよな。
しかもこんな暑いのにホットなんていらねえか、何やってんだろうなオレ。
ちょっと待ってて、向かいの自販機でスッキリするような飲み物買ってくる」
と、テーブルに両手をついて立ち上がった。
しかし芽衣子はまたゆっくりココアを飲み始め、
「……でも美味しい」
と鼻をすすりながらも、微笑んだ。
「こういう不器用な優しさっていいですよね。
それにさっきの有野さんを助けに現れた時なんて、ヒーローそのものでかっこよかったなあ」
園田は久留米を見ながら何度もうんうんと頷いていた。
「お前、あん時のブチ切れた久留米にすっかりビビってたじゃねえか」
俺もビビっていたけど、そこは棚に上げて園田をジロッと見た。
「あの時は正直、おしっこチビりそうになったけど、有野さんのために危険を省みず飛び込んだ姿には惚れ惚れしましたよ。
久留米さんが、心底有野さんのことを大事にしてるのがすごく伝わってきたから……」
「…………」
園田の言葉が胸に突き刺さり、俺は何も言えずに下を向くだけだった。
俺がもし、生きた状態であの場に居合わせていたら、久留米のように迷わず男の元へ殴りかかっていけただろうか。