おかしな熱中症-4
「どう?わたしの姿、ちゃんと写ってる?」
「悔しいけど、ちゃんと写ってる」
「それじゃあ、疑惑は晴れたわけだね」
遥香に肩を抱かれて、理人は口を尖らせたままゲーム機をたたんだ。
背面からの熱が指につたわってくる。
「きみのお願いは聞いてあげたんだから、今度はわたしの番ね」
遥香は今度こそ着衣を1枚脱いで、シャツ越しのほっそりした体の線を披露した。
出るところは出て、くびれるところはしっかり締まっている。
「幽霊じゃなかったんだ……」
あてがはずれて無気力になりかけた理人だったが、遥香の放つ花の匂いに誘われて、今そこにある未知の領域に鼻を近づけていった。
そうして顔面がやわらかい場所へ着地すると、まずは深呼吸した。
スウ……、ハア……。
果物の甘い香りとも言えない大人の匂いが、胸いっぱいにひろがる。
「お姉さんは何をされても平気だから、好きなように甘えていいよ」
口説き文句をささやかれて、しだいに性に目覚めていく理人。
遥香に誘導されている自覚もないまま、気がつけば彼女は着衣を乱してブラジャーとショーツをさらし、理人の指が敏感な部分をいじくりまわしていた。
やわらかいのを通り越して、もはやショーツが溶けてしまっているような感触さえある。
「ああっ、あん、上はもっとやさしく、下はもっと強く、んくうん……」
『病弱な転校生』を思わせる謎めいた翳りのある人だなと、理人は未熟ながらも遥香のことを透視していた。
なぜなら理人は、子どものフリをした大人だったからだ。
遥香もそれを見抜いている。
「女の子の扱い方を、きみはどこでおぼえたの?」
遥香の問いかけに、理人は愛撫で返答する。
そこに何かの文字を書いていくみたいに、下着の上に指で線をひいて、とめて、はねて、はらう。
そのたびに意識をさらわれる遥香の目は、遠くを見ているようで、じつは理人の指の行き先を追っていた。
胸の先端、膣の入り口、クリトリス、それらをいたずらする少年の指使い。
「もうっ、いい、イクっ、くふ、イっちゃう……」
遥香がエクスタシーに達しようとした瞬間、理人の指が止まった。
「どうして泣いてるの?」
遥香は涙ぐんでいた。快感がそうさせていることに気づいたとき、頭の中が熱くなった。