前章-15
「はぁ！はぁ！……ああ！出る」
「ぐっ！……う、んん……」
「き、菊代……もう一度、もう一度したい」
万物を創造したとする神々は、何故、人間をこの様に不完全な形で世に放ったのだろう。
それとも、身に付けた知能によって、神々の与えた機能の範疇をも凌駕してしまったのか。
「うん、うん……」
愛液まみれの淫茎を、菊代は躊躇いもせず銜（くわ）えて、しゃぶり尽くす。愛し気な舌遣いで舐め回す様は、まるで仔猫の毛繕いをする親猫の様だ。
伝一郎も又、跨がり、面前にある菊代の秘裂に口唇を当てがった。滴る愛液を啜り、舐めるばかりか菊門さえも、舌先で優しく責め立てる。
すると、固く閉じていた菊門が、次第に柔らか味を帯びて来た。
「次は……こっちで」
「ふぐ！……う」
言うが早いか、伝一郎の指先が、菊門の入口を弄り出す。
「ゆっくりと拡げてあげるよ」
「うん……んん！……」
人差し指がゆっくりと出入りする度に、中から粘液が滲み出し、滑りが増して行く。
最初は眉を顰（ひそめ）ていた菊代も次第に表情が緩み、液音が伴う様に為る頃には、艶かしい嬌声（きょうせい）が漏れ出す迄に変わった。
「感じて、女陰も濡れてるね……こんなにいやらしい音を立てて」
「あん！あん！……ああん！」
菊門に指二本を呑み込み、愛液に似た物を溢れさせ、激しい動きに悦びの声を挙げている。
伝一郎は徐に指を抜いた。菊門はぽっかりと穴を広げ、ゆっくりと蠕動（ぜんどう）を繰り返している。まるで、淫茎の挿入をねだるかの様に。
「これだけ馴染めば充分だ」
「ああ……怖いわ」
「大丈夫だよ。ゆっくり挿れるから。それに、こっちも覚えれば、これからは倍に楽しめる」
唾液に濡れた淫茎を菊門に当てがい、腰に力を込めた。
「ふ……うん……」
菊代の眉根に苦悶の皺が浮き上がる。体内を押し拡げながら入って来る感覚は、目交わいと異なり、痛みとむず痒さが伴った。
「はああ……締め付けが……」
伝一郎は、少しずつ淫茎を奥へと圧し進めた。膣内の絡み付く様な肉襞と異なり、凹凸の感触は薄い。しかし、代わって強い圧迫が亀頭に加わり、未知なる快感によって貫きたい衝動に駈られた。
菊代は、淫茎がにじり寄る程の調子で奥へと突き進む感触を感じつつ“未知為る快感を我が子によって知る”揺るぎ無い現実が、更為る興奮の呼び水と為っていた。
「ぐっ……奥まで、入った」
「何だか……変な……」
腸内（なか）で蠢く感触が菊代には判った。布越しに敏感な部分を触られてる様なもどかしい感覚も。そう思った矢先、伝一郎がゆっくりと腰を引いた。
淫茎が腸内から引き抜かれ出した瞬間、背中をぞわぞわとした寒気を伴う、新たな快感が駆け抜けた。
「はあ！ああ……」
伝一郎がゆっくりと動き出した。淫茎が菊門を突き上げ、引き抜く。一連の動作が繰り返される度に、菊代は肌を粟立たせて身を退け反らせる。総毛立つ程の快感が突き抜けて、思わず喘ぎそうに為る。